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August 19, 2004

『入養人/異邦人 Our Adoptee,Our Alien』 (クムサンギャラリー、東山房画廊)、『オブジェ画家』展 (ギャラリーチョースン)、『ART IN COMPANY』 (ギャラリーヒョンデ)、『Merriment of Eyes _Bead』 ソン・ジョンリム個人展(do ARTギャラリー)


このごろあまり展覧会を周ることができてません。
いつもはたくさんを周ってじっくり選んで書くのですが。
しかたなく、必ずしもビビッと来たものではなくとも、載せてみました。


『入養人/異邦人 Our Adoptee,Our Alien』 クムサンギャラリー、東山房画廊(8.5-8.14)



ポスター。



「入養」とは、血の繋がらない人との養子縁組を指す。
今年は海外への養子縁組が始まって50周年ということである。
それを記念して、海外へ養子に行き、そこで育った韓国人アーティストたちの映像・平面作品を集めて行なった展覧会。
作家は11人で全員女性。
アメリカから6人、ベルギー、スイス、スウェーデン、デンマーク、フランスから各1人。
養子縁組をするときに里親に渡されたと思しき赤ん坊の写真、家族写真、アメリカに住む韓国人へのインタビュー(作家もふくむ)で構成されたドキュメンタリーなど、アイデンティティーを強く意識した作品ばかり。

韓国は「世界一の養子産出国」といわれる。(『病としての韓国ナショナリズム』 伊東順子、洋泉社)
その理由に経済的なものと、男子誕生を奨励するためというものがある。
(最近は海外養子縁組への批判が高まり、その数は減ってきたらしい)

ゆえにこの展覧では、韓国社会の断面の一つを直視してしまった感じ。




『オブジェ画家 ”もので描く絵”』展 ギャラリーチョースン (7.21-8.29)



Gallery Chosun外観。垂れ幕に「オブジェ画家」とある



展覧会名のとおり、画具を使わずに描いた絵画の作品を集めた展覧会。
12人の作家がそれぞれ1作品ずつ出品している。
米粒で描いたアインシュタイン(イ・ドンジェ)、カラフルなビニールの付箋紙(ポスト・イット)で描かれたダヴィンチのモナリザ、ゴッホのひまわり(イジョン・スンウォン)、レンチキュラー(見る位置を変えると違う画像が見える)を使って3コマの動画を作ってみせた作品(パク・ソンヨン)など。
その他は刺繍、切り絵、螺鈿など。
工芸品に見えるものもあるが、画具からの逸脱というテーマが少々妙あり。




『ART IN COMPANY』 ギャラリーヒョンデ (7.21-8.15)


2001年から1年余り、計4回にわたってナムジュン・パイクの展覧会を行なったギャラリー。
ちなみにヒョンデ(日本では「ヒュンダイ」)自動車とは関係がないそうだ。


「今回の展示は美術品購入文化の土壌を要しようとする意図で企画された展示だ」
とフリーペーパー『Art Price & REVIEW』のレビューにある。

それによると、「美術品購入による税制優遇法案」という法案が提出されたらしい。
「美術文化は企業人を含む多数の一般人に新しい方向性を提示している。
また人々の文化的マインドを鼓舞させようとする一貫された主題で展示を開催する」
(『Art Price & REVIEW』)

つまり現代美術品購入キャンペーンみたいなものである。
なんだか身も蓋もないのだが。

展示されているのは有名作家ばかり。
ナムジュン・パイク、李禹煥、スパンコールで覆われた仏像の作品で知られるノ・サンキュン、水滴をリアルに書いた油彩画で有名な金昌烈(キム・チャンヨル)、針金で葉脈だけの葉を作るチョン・クヮンホなど。
国外出身作家ではロバート・インディアナ(例の『LOVE』)など。

投資として堅実なものばかりという感じ。
「また人々の文化的マインドを鼓舞させようとする一貫された主題で、展示及びその他を一緒に開催する予定だ」そうだ。




『Merriment of Eyes _Bead』 ソン・ジョンリム個人展 do ARTギャラリー (7.28-8.15)



パンフレット。右半分が作品の拡大写真。



パリ・NYで活動を行なってきたソン・ジョンリムの国内初個展。

新聞記事や広告、本のページなどをビビッドな色に染めてコラージュし、その上からビー玉を敷き詰めたような透明のビニール板をかぶせた平面の作品。
ビニール板のせいで色がすべて球状にゆがみ、不思議な世界を作り出している。

『気持ちで読む本』は、小説のページ一枚一枚に例のビニール板をかぶせ、小さな額におさめたものを、縦2列、横12列に並べている。
色がはちみつ色、そしてビニール板と額の並べ方のせいで、養蜂の箱に見えてくる。
女の子が好きそうな作品。
実際会場は女性ばかりで、みんな、ビニール板の中はどうなっているのかと熱心に眺めていた。




こんな風に。



他に、展覧会はなんともおもしろくなかった(会場も個人の記念館で、銅像がどんと立っているので興ざめする)が、会場の外見に驚かされたキム・サンデクの第8回個展。インスタレーション作家らしい。

 

Posted by art,seoul at 05:36 PM | Comments (0)

August 07, 2004

『I Am Ready!』 キム・ジヒョン個人展 7.21―8.8






リーフレット。女性はキム・ジヒョン本人。




ギャラリーが多く集まる仁寺洞(インサドン)の北側にある”仁寺美術空間”の企画展。
キム・ジヒョンは、漢陽(ハニャン)大学で映像を教えている映像作家。
春の『衝突と流れ』展(西大門刑務所)にも『ダンサーの純情』という、独房の中で真っ赤なドレスを着た女(=キム・ジヒョン)が悲しげな歌を歌いながら踊る映像を出品している。

今回の個人展では、その『ダンサーの純情』、『Tango』、『I Am Ready』の3作品が出展されている。


『I Am Ready』。
真っ暗な空間に、暗い画面の8台のモニターが半円状に並べられている。
左側から1人ずつワイシャツ姿の男性の顔が映しだされていく。
どれもその辺のサラリーマンといった感じ。
鏡を見るように、身なりを整えたり、声の調子を整えたり。

何かと思ったら、彼らの鼻をすする音や、ゲップの音、くしゃみなどで演奏が始められるのだ。
テクノで、彼らの奏でる?音がスクラッチ音のように使われている。
そして、音楽に合わせて、目まぐるしく画面が点滅する(音を奏でる瞬間だけ彼らは映し出される)。
そういえば昔、オナラのオーケストラなんてものがあったなぁ、とちょっと思い出したが、まったく違うことを明記しておきます。
素直に楽しめた。


『Tango』。
ダンスホールのように仕立てられた空間。真紅のビロードのカーテンに、映像が映し出される。
向って左側のカーテンに女性、右側のカーテンに男性が映されて、音楽と同時にタンゴを踊りだす。
しかし、2人とも1人で踊っているのだ。
女性は表情が恍惚としている。
しかし、音楽は激しいのに、ダンスはつたない。
しかも、本来2人でセクシーに絡み合うはずのタンゴで、それぞれが自分のパートを踊っているから、滑稽だ。
ずっと見ていると、滑稽を通り越して、空虚を感じるようになる。

しかし、タンゴの終わりを告げるアコーディオンのフレーズが流れた時、どちらも女性の映像になる。
そして、疲れた顔をして、肩を揺らしながらぜいぜいと激しい息を吐くのだ。

えっ、もしや自慰行為だったんですか、という意外性。
韓国の女性には、めずらしい切り込み方なんじゃないだろうか。


しかし”インサ美術空間”は目立たなすぎ。
もうちょっと宣伝をした方がいいと思う。
私が行ったときは、スタッフが誰もおらず、リーフレットもほったらかしになっていた。
こういうところはけっこうソウルのどのギャラリーにもある。
結構有名な作家なんだから、体面だけでももうちょっとどうにかした方がいいんじゃないか。

Posted by art,seoul at 07:01 PM | Comments (0)