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March 05, 2005

宮島達男 『Trandcend Section(境界を越えて)』 設置ワークショップ&レセプション 2.27、3.1 サムソン・リウム美術館




旧正月と管理人の体調不良のため更新が遅れました。申し訳ありません。




『Trandcend Section』の美しい光。
エントランスに続く通路にデジタルの数字が点滅する。




2004年10月に開館したサムソン・リウム美術館
南山の麓、漢江鎮(ハンガンジン)の高級住宅街の中に位置し、三星(サムソン)文化財団に移したサムソン・李健煕会長のプライベートコレクションを展示している。
所蔵作品のレベルの高さや展示方法は韓国内では類を見ない。
古美術はほとんどが国宝・重要文化財、現代美術はジャコメッティやフランシス・ベーコンからマシュー・バーニー、サム・テイラー・ウッド、ゲルハルト・リヒター、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、イ・ブル、イ・ジュンソプ、キム・ファンギなど、枚挙に暇がないほど海外・国内問わず重要作家を取り揃えている。
また、建築は古美術を並べる「Museum1」をマリオ・ボッタ、現代美術を所蔵する「Museum2」をジャン・ヌーヴェル、「児童教育文化センタ」ーをレム・コールハースと、世界のトップに立つ建築家に依頼したものだ。
こういった物質的なレベルも高いが、これほどの作品を観客の近づく距離の制限線を引くこともなしに見せていること好ましいし、子どもたちに芸術の面白さや作品に込められた意味をレプリカや本物の作品を使って見せる「児童教育文化センター」は、楽しいアイディアに溢れている。
入場は完全予約制のため制限されており、現在2ヶ月待ちだとも聞く。





サムソン・リウム美術館。後ろはハイアット・ホテル。
建物は左から児童教育文化センター、Museum1(茶色の建物全体)、Museum2。




そのリウムに、宮島達男の新作『Trandcend Section(境界を越えて)』が永久設置された。
2004年開催の光州ビエンナーレに『Time River』が出展されたのを見ると、今年度は特に宮島達男と韓国の親密度が増した年といえそうだ。

今回の『Trandcend Section』は、発光ダイオードの光でランダムに1から9の数字を示すカウンターガジェットに人間の生命、その無限の可能性を込めた作品である。
『Mega Death』(1999)などに続くテーマであるが、作家は特に韓国における作品には「分断」のイメージを持たせている。
生命の輝きが分断という苦しみ・悲しみをも越えることを暗示している。



まず、直島の『Sea of time』や埼玉県立近代美術館の『Number of Time in Coin-Locker』と同じように一般市民を対象に公募し、それぞれカウンターガジェットのスピードを調節してもらうワークショップが2月27日に開かれた。
宮島達男本人から作品のコンセプト等説明するレクチャーが開かれ、それに参加した上で市民たちはカウンターガジェットのスピード調節に入る。
宮島はレクチャーの最後に、
「その一つ一つが作品であり、あなたはアーティストである」
「あなたがスピードを決めた数字は、永久に動き続ける」
と念を押した。
この作品はリウム美術館の建物の一部として外部に設置されるため、半ばパブリックアートといえる。
パブリックアートにおいては今までほとんど試みられなかったことだが、「パブリック」であるものに一般市民が参加するということが非常に意義深い。
彼らは作品に親密度を増し、またシンクロし、共鳴しもする。
市民たちは、永遠に残る自分の作品、自分の生きた証拠をどのように思いながら作っただろうか。
宮島の感想によると、今回韓国人である参加者たちの設定したスピードは、他の作品よりスピードが速いそうだ。




 
(左) 作家によるレクチャー。 (右) ワークショップ会場となったロビー。



スピード設定されたカウンターガジェットはその後美術館のエントランスの床に設置され、3月1日にワークショップ参加者や韓国の美術関係者等が招待され、盛大に完成レセプションが行なわれた。
南山の緑をイメージして選ばれたというエメラルドグリーンの光。
分断の象徴の河・臨津江(イムジンガン)にも似ている。




 
点灯直前のエントランス部分。



美術館前の歩道にも埋め込まれたカウンターガジェット。




記事掲載を許可くださった宮島達男氏に感謝いたします。

Posted by art,seoul at 06:15 PM