« January 2006 | Main | March 2006 »

February 27, 2006

『BITMAP』展 2.17-3.14 オルタナティブスペースLOOP




新しく、そして大きくなったオルタナティブスペースLOOP



2005年7月の展示を最後に移転したオルタナティブスペースLOOP。
11月に再オープンした新しいスペースは、地下1階、地上4階という大きいものになった。
地下1階・地上1階は展示スペース、2・3階がカフェ兼展示スペース、4階が事務所で、展示スペースは過去の10倍ほどに広がった。
以来2005年11月に『新しいLOOP開館展 since1999』、12月初めに『ハングル・ダダ』展(タイポグラフィ・デザイナーのアン・サンス主導のタイポグラフィ展。2005年度はこちら)、12月後半に『イ・ヨンベク個展』、2006年2月11日にはオールナイトイベント『Loop Full Moon Party ”80年代”』を開催している。

今回の『BITMAP』展はデジタルフォトの国際展である。
世界各国(韓国、日本、中国、香港、台湾、インドネシア、インド、オーストラリア、ドイツ)16人のキュレーターが選んだ27人の写真作家から1点ずつ作品を得て開かれた。
参加作家は以下のとおり。
チェ・ジュンウォン(Chucky)、ホン・ジャクソン、サタ(思他)、パク・ヒョングン<韓国>、石黒千春、林裕巳、佐野正興、片山博文<日本>、チー・パン(遅鵬)、タン・マオホン(唐茂宏)、ジン・シャン、ワン・グォフェン(王国鋒)<中国>、リー・ウーディ、ヤウ・ワンケイ<香港>、リー・ダニエル、ユェン・グァンミン(袁廣鳴)<台湾>、Bayang Wimo Ambala、Pauhrizi Erick、Purbandeno Angki、Tumbuan Keke<インドネシア>、Chotrungroj Chananun<タイ>、ラシッド・ラーナ<パキスタン>、Crooks Daniel、Smuts-Kennedy Sarah<ニュージーランド>、Gottmann Gosbert<ドイツ>、カーン・ソフィ<イギリス>、エレーナ・ヘルマン<メキシコ>

副題には「International Digital Photo Project」とあり、新しいLOOPになってから、もっとも規模の大きな展覧会といえよう。




パク・ヒョングン『Untitled』


Yau Wankei 『Untitled』


展覧会名『BITMAP』は説明するまでもないが、Windowsが標準でサポートしている画像形式を指す。
展覧会は全体としては3つのイベントから成立しており、1つは2005年12月27日から3月14日まで行われているオンライン展示、2つ目はそれに対するオフライン展示(オルタナティブスペースLOOPでの展示)、3つ目は2月24日に梨花(イファ)女子大学で開かれたシンポジウム『BITMAPセミナー』である。

デジタルカメラの台頭というのは、日本でもコニカミノルタがカメラ・フィルム部門から撤退したニュースをはじめ近年すさまじいものがある。
そのデジタルカメラの有効性、表現の可能性の広さ、普及性、またアナログカメラとの差異、現代美術の中のデジタル写真とは何か、といった様々な論点を持つ展覧会となっている。
また、世界各国から作品を集めることによって、写真のデジタル化とグローバリズムの関係についても考えさせられる。




サタ(思他) 『I,Selfportrait from Lapmask』


Lee Woody 『Pilgrimage』


パク・ヒョングンの『Untitled』はロンドン近郊の森や公園を写したシリーズで、森の中の不自然さ、人工物の中の自然または「うるおい」のようなものを写しだしている。
また、サタ(思他)は今回出品した韓国人作家の中でもっともデジタル加工を想起させる作品を創出している。韓国社会の空しさを表現しているが、そのインターフェースは21世紀的と言える。
チェ・ジュンウォン(Chucky)の『よぎる風景』は、80年代と見える韓国を絵画調に表現し、レトロな雰囲気をかもし出している。

韓国人の他には、ヤウ・ワンケイ が『Untitled』で6~70年代の香港らしい、九龍城を思い起こさせる建築物群を写しだしている。また、パキスタンのラーナ・ラシッドの『Veil2』は、全体的にはイスラム女性のヴェール・ブルカを被った姿が見えるのだが、よく見るとポルノやセックスシーンのイメージをドットとして作品を作っている。セックスも社会も男性が主体であることを思い起こさせる作品である。



 
左:佐野正興 『Taking the Horizon』、右:チェ・ジュンウォン(Chucky) 『よぎる風景』



2月24日に梨花女子大学LG国際教育館コンベンションホールで開かれたシンポジウムは、「デジタル写真の領域とアイデンティティ」と「写真のオリジナリティ/複製性の問題とそれによる文化層序」をテーマに、全北(チョンブク)大教授のシム・ヘリョン氏、 ICCの住友文彦氏、ドイツ・フォトグラフィフォーラムインターナショナルのLunsford, P. Celina氏、 現代写真研究所所長のジン・ドンソン氏、桂園(ケウォン)造形芸術大学教授のユ・ジンサン氏、LOOPディレクターのソ・ジンソク氏の6人のコメンテーターで話し合われた。
写真という媒体・方法では一致しているが、とらえ方については異なる立場や考え方から論がまとまらなかった印象だった。しかしアナログ写真の有効性、デジタル写真の保存性、メディア・コミュニケーションウェアとしてのデジタル写真、写真家とアーティストの区別、デジタル写真とアナログ写真の統一性、著作権の問題などについて深く検証された。
アナログ写真とデジタル写真が同じようで異なるメディアであること、また作家の意図によって、または受け取り方によって「写真」と「アート」が区別されるものであることなどが浮き彫りにされた。
それは、オンラインとオフラインという形式で開催することのできる展示を見ても、デジタル写真の問題、そして展望が提示されているといえよう。




LOOP『BITMAP』展のシンポジウム。 左から、シム・ヘリョン氏、住友文彦氏、Lunsford, P. Celina氏、ジン・ドンソン氏、ユ・ジンサン氏、ソ・ジンソク氏



各作品の写真を提供下さったオルタナティブスペースLOOPソ・ジンソク氏に感謝いたします。

Posted by art,seoul at 02:11 PM