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April 20, 2006

『ART SPECTRUM 2006』展 2.16-5.14 サムソンリウム美術館







サムソンリウム美術館の3回目の企画展にして最初のグループ展が開かれた。それがこの『ART SPECTRUM 2006』展。
2001年から隔年で開催されてきた展覧会であるが、今回はその展示規模をさらに大きくして、サムソン・リウム美術館のキュレーターが2人ずつ若い作家を選び、その作家らの作品を展示するという展覧会になっている。
対象は絵画、写真、彫刻、インスタレーション…と限定はない。
イ・ジュンソプ回顧展、マシュー・バーニー『拘束のドローイング』展と企画展を展開してきたリウムだが、いよいよその性質を現代美術(それも、若い作家たち)へと強めているようだ。
また、レム・コールハースの設計したサムソン児童教育センターはリウムにおける企画展の会場として定着しつつある。




イ・ヒョング『カニス・ラトランス・アニマトゥス(Canis Latrans Animatus)』、
『ゼオコキックス・アニマトゥス(Geococcyx Animatus)』




若手作家と言ってもある程度その名が定着した作家たちばかりである。
今回選ばれた作家は、イ・ヒョング(インスタレーション)、ソン・サンヒ(写真、インスタレーション)、チョン・ソヨン(映像)、キム・ソンファンとレディ・フロム・ザ・シー(映像)、チョン・ジョンジュ(インスタレーション、映像)、ソン・ジョンウン(インスタレーション)、パク・ソンヒョン(映像)、ジニー・ソ(彫刻)、チェ・スンフン+パク・ソンミン(インスタレーション)、イム・チャヒョク(絵画)、チョン・ギョン(絵画)、チョン・ギョンウ(写真)、パク・ユニョン(絵画)、イ・ジュン+チャン・ジェホ(インスタレーション)の14組である。

イ・ヒョングはこの3年ほど取り組んでいるアニメのキャラクターのようにデフォルメされた骸骨のインスタレーション「アニマトゥス」シリーズから2点、宙吊りのインスタレーションをしている。

また、ソン・サンヒは記念碑をモチーフに、固定化された歴史のイメージに対して女性ならではの切り口で挑んでいる。記念碑を男性そのもの、また男性により打ち立てられてきた(アジアの)歴史と解釈した上で、自身は調理用のラップを使って、おぼろげで、ぼんやりとして、軽さとはかなさを持った記念碑を作り上げている。




ソン・サンヒ『Mirage』


チョン・ソヨン『Trace-NY』



チョン・ソヨンは『Welcome to my house』で自宅の窓を双方向から固定カメラで撮影した映像を映し出している。そこに描かれるのはシングルマザーである作家自身とその息子の生活の軌道、息づかいである。また、『Trace-NY』では、小さなモニターを積み上げ、所々に別々の映像を映し出している。それは旅をしたときに使った道路や鉄道のラインをその乗り物のスピードでずっとなぞっただけの淡々としたものだ。こちらも固定カメラを使用しているようだ。時間と距離というもの、また実際の空間移動と心理的移動の乖離について考えさせられる。

キム・ソンファンとレディ・フロム・ザ・シーは、『壁貼り、漂白、反復、完全な生』という映像作品を出品。手で粉を分けたり集めたり、また野原の上に布で曼荼羅を描くようなパフォーマンスをしたり、美しい顔の少女が透明の容器に排便するのを移したり、儀式的にも見え、しかし背信的にも見える隠喩的で複雑な映像である。彼がコリアン・アメリカンであることに由来するのだろうか。

チョン・ジョンジュは、『ビルディング』で建物の模型をつくり、その中に小型カメラを搭載した小さな車をうろうろと走らせている。その映像は大きく模型の前のスクリーンに映し出される。その映像はまるで模型とは思えない、本物の空虚な建物の中を撮影したように見える。人間の視覚や見方がいかに映像によって、そして人間自身によって欺かれているかということを感じさせる。

ソン・ジョンウンは薄いガラスで作られた、ビーカーやフラスコ、スポイトのような造型を複雑に組み合わせた『Love』を出品。今にもガシャンと音を立てて壊れてしまいそうな一群である。この組み合わさったガラス作品の周りには、「冷情」「後退」「依存」「暗示」「幻想」…といった様々な形の愛の形が、ガラスで作られ、陳列されている。それひとつひとつも非常にはかなげだが複雑な形容をしている。




ソン・ジョンウン『Love』


チョン・ジョンジュ『ビルディング』


チョン・ギョンは『渡り道』などの作品数点。淡い水彩で、ファンタジックに、コミカルに、女性の性体験、出産、そして男女や家族関係を描き出している。

チョン・ギョンウは、数十分をかけて露出したポートレート『in/finite』シリーズを出品。揺れ動き、境界のぶれたポートレートは、被写体の肉体の動きとともに心理的な動きをも映し出している。


見ごたえたっぷりのこの『ART SPECTRUM 2006』展、リウム美術館の学芸員による展覧会ガイドも頻繁に行われ、現代美術の理解に力を入れているようだ。マシュー・バーニー展に引き続きパーテーションがやや狭く苦し目であるが、サムソンという巨大な資本が若手の現代アーティストを取り上げたということ、企画展として現代美術に力を入れているという現況は、今後の韓国のアートシーンに少なからず影響を与えることだろう。




写真を提供くださったサムソンリウム美術館にに感謝いたします。

Posted by art,seoul at 12:30 PM