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June 08, 2006

『脱俗のコメディ』パク・イソ遺作展 3.10-5.14 ロダンギャラリー




2004年釜山ビエンナーレで展示された遺作『我々は幸福だ』のビルボード



ロダンギャラリーのビルボード



2004年4月、釜山ビエンナーレを目前にアトリエで心臓麻痺により急死したパク・イソ。椅子に座ったままの姿で発見された彼は、韓国人としてはパフォーマンス・アートやコンセプチュアル・アートにおける先駆者である。47歳の短い生涯とその20年にわたるアートワークをまとめ、2周忌にあたる今年、イ・ヨンチョル桂園大学教授の企画で、パク・イソ遺作展『脱俗のコメディ』をロダンギャラリーが開催した。

パク・イソの死は韓国の現代アートシーンにおいては大きな衝撃であった。2003年のヴェネチア・ビエンナーレに出展するなど国内外での評価も知名度も確実なものにしていた作家である。
彼の死後、2004年釜山ビエンナーレは彼のプランから『我々は幸福だ』という横断幕の作品を作り起こして展示した。また『地平を越えて』展(2004年、トータル美術館)は2004年釜山ビエンナーレ参加作家が主となって展示を行った実質的追悼展である。
また、この『脱俗のコメディ』展は今年の釜山ビエンナーレ開催に合わせて企画されたものだろう。韓国のアートシーンにとっては、彼をなくして初めてのビエンナーレとなるのである。




インスタレーション『あなたの明るい未来』



パク・イソ(朴異素)は本名をパク・チョルホといい、1957年釜山で生まれた。
弘益大学を卒業後、1982年に渡米、アートインスティテュートに通った。1985年にはニューヨークに「Minor Injury」というアートスペースを構え、運営するようになる。ここはノンメジャーの作家や、韓国のように先進国ではない国からニューヨークにやってきた作家のためのオルタナティブ・スペースであった。
このころ彼はパク・モ(朴某)と名乗り、「ある韓国人」という匿名性を持ったアーティストとして自分を位置づけ、パフォーマンス・アート、コンセプチュアル・アートにとどまらず、アート情報誌や新聞への寄稿など、その活動を幅広くした。

1995年に韓国に帰国、多くの企画展や国際展、アートインレジデンスに参加した。また翻訳活動により、海外の最新のアートシーンの動向と哲学を韓国に精力的に伝えた。
しかし、帰国後の彼の作品には哀愁がただよっている。
おそらくは10年にわたる海外生活によって澱のように彼の内面に重なっていった無力感がそうさせたのであろう、人間の無力さ、無目的さ、ナンセンスアート等を表現するようになる。




インスタレーション『今日』



展示は、彼のニューヨーク時代の新聞記事やパフォーマンスの映像から始まり、ヴェネチアビエンナーレに出展した作品『2010年世界で一番高い建築物 10選』、水に浮かぶことのできないコンクリートと鉄骨でできた舟の作品『後を振り返るな』、そして突き当たりの最後の部屋には遺作である『今日』が展示されている。

20年という短い作家活動の中から、彼自身の哀愁、そして世界の中の韓国現代アートの軌跡と位置を思い知らせてくれる展覧会である。




写真を提供くださったロダンギャラリーに感謝いたします。

Posted by art,seoul at June 8, 2006 05:58 PM